2025年9月2日
林活議連視察最終日は、日本の伝統的な建築や工芸品に不可欠な最高品質の木材を生産する北山杉の里総合センターへ行ってまいりました。
一般的な林業では、100年かけてようやく柱材などが取れるのに対し、北山杉は約30年で伐採・出荷されます。これは、極限まで枝打ちを行い、幹の太さを抑えつつ真っ直ぐに育てるという非常に手間のかかる「細く長く育てる」栽培方法によるものです。
北山杉は、真っ直ぐで上下の太さの差が3cm以内に収まるように栽培されます。これは一般的な木材では見られない特徴であり、高品質な北山杉の証とされています。
日本の林業が直面する課題として、昭和55年(1980年)に日本全国で14万6千人いた林業従事者は、令和2年(2020年)にはわずか5万人にまで縮小(70%減)するという驚異的な減少率を示しています。この減少傾向は現在も続いており、限界集落化が進む地域では、最年少の従事者が50代というケースもあるようで、担い手の確保が急務となっています。
さらに、労働災害のリスクの高さや、国内の木材自給率の低さ(輸入材75%)や、外国産木材や他地域の国産材との価格競争により、地元産木材が売れにくい現状がある中、現代における存続の難しさを教えていただきました。
環境保護と伝統産業の維持をしつつ、生活様式の変化による新たな用途開発や高付加価値化の追求など、持続可能な林業への転換が求められます。
市原市 鈴木 和宏