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  • 2021年07月21日 自殺防止への支援強化について(一般質問より)

    2021年7月18日


    2003年の34,427人がピークであった我が国の自殺者数は、2009年のリーマンショック以降、2019年までは年々減少し続けていましたが、2020年で再び上昇に転じ、昨年の自殺者数は、前年比912人増の21,081人となりました。

    コロナの影響による経済的な困窮や、外出自粛による不安・ストレスが要因と指摘されています。とくに環境が大きく変化する世代に影響を及ぼしており、19歳までが118人増、20代が404人増と、若い世代の増加が顕著に現れました。


    また、本年5月末までの暫定値を見ると、前年より1,033人増の9,039人となっています。その傾向は本県も同様で、前年より41人増え、すでに421人の方が、尊い命を絶つ結果となりました。

    この事態を重く受け止めた政府は、自殺を考える人達が社会的に孤立しないよう対応する「孤独・孤立対策担当室」を新設するとともに、「地域自殺対策強化交付金」を増額させ、支援強化に乗り出しました。

    これ以上悲しい事態を招かないためにも、自殺の抑制に向けた取り組みが必要であり、県の取り組みについて質問しました。


    自殺の抑制に向け、県ではどのような対策を行っているのか?

    県では、千葉県自殺対策推進計画に基づき、自殺予防の普及啓発事業として、県民だよりや県ホームページ、チーバくんツイッター、ウェブ上での検索連動型広告などにより、相談窓口の周知などを行っています。

    また、様々な悩みを抱えた人に対する相談事業として、「こころの健康相談統一ダイヤル」などの電話相談窓口を設置するとともに、本年1月からは、「千葉県いのち支えるSNS相談」として、LINEによる相談窓口を開設したところです。

    さらに、市町村の実施する自殺対策事業や、「千葉いのちの電話」などの民間団体が実施している相談支援活動に対して補助を行い、地域におけるきめ細やかな自殺対策を支援しています。

    新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、社会的な孤独・孤立の問題が続く中、本年2月に、国は担当大臣を任命し、担当室を設置したところです。県としても、このような国の動向も注視しながら、人々の社会的な不安に寄り添い、心の悩みに対応してまいります。

    日本自殺予防学会に所属する精神科医によると、自殺を考える人のほとんどは困り事を抱えており、そのストレスをきっかけにうつ状態になった人は、心の視野狭窄が起こり、疎外感や孤独感が深まるようです。そして、その状態が数カ月続くと、さらに視野が狭くなり、客観的に見れば問題を解決する方法は必ずあるはずが、本人にはほかの選択肢が見えなくなり、もう死ぬしかないという気持ちに追い込まれ、自殺へのプロセスが進行していくとのことでした。

    うつ状態にあるときに、適切なサポートを受けることができれば、狭まった視野を広げることができ、さらには専門科での治療へとつなげることも可能になります。

    自殺願望がある人の異変に気付き、話に耳を傾け、必要な支援につなげる役割を果たす人のことを、ゲートキーパーといいますが、命の門番であるゲートキーパーが増えることで、解決への一歩につながると考え、県での取り組みについて質問しました。


    ゲートキーパーの養成について、県ではどのように取り組んでいるのか?

    自殺の危険を示すサインに早期に気付き、関係機関と協力して適切な対応を図ることのできるゲートキーパーを養成することは、自殺対策において重要な課題と認識しております。

    このため、県では、保健所や市町村、医療機関、産業保健センター等の労働関係機関、民間支援団体等において相談支援業務に携わるスタッフを対象に、「自殺対策相談支援者研修」を実施し、これらの方々が、ゲートキーパーとしての役割を果たせるよう、資質の向上を図っているところです。

    また、市町村等が実施するゲートキーパーを養成するための研修に対する補助や講師の派遣を通じて、地域におけるゲートキーパー養成の取組を支援しているところです。

    第2次千葉県自殺対策推進計画によると、主にゲートキーパーの養成は市町村が行い、県は市町村が行う人材養成の取り組みを支援するとあります。しかし、昨年、県の補助を受けて養成講座を行った市町村は、わずか20市町村でした。

    県としても具体的な数値目標を掲げ、ゲートキーパーの養成に取り組むとともに、ゲートキーパー自身のバーンアウト(燃え尽き症候群)の防止にも取り組んでいただくよう要望しました。

    また、いのち支える自殺対策推進センターが行った最新の自殺実態分析報告書によると、20代の若者が自殺するリスクがとくに高い時間帯は、昼の12時~18時と夜中の0時~翌朝6時という調査結果でした。

    一方で、県が行っているSNS相談窓口の受付は、週に三回、時間は18時~22時であり、リスクが高い時間帯とのギャップも見られます。相談可能な曜日の追加や時間帯の拡大をはじめ、さらには、24時間365日体制にするなど、相談体制の強化を求めました。


    【参考資料】
    まもろうよこころ(厚生労働省)
    こころの相談、悩みなどの相談窓口(千葉県)
    第2次千葉県自殺対策推進計画
    令和2年中における自殺の状況



    市原市 鈴木 和宏

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